世界観

状勢

特異性能力保持者――それは人類の限界を超越した力を持つ者たち。
ある時は神の使い、またある時は悪魔の化身とも呼ばれた彼等は、どちらにしても歴史書ではなく神話や伝説に畏敬をもってその名を記される存在であった。

しかし近代国家において彼等は超常の力を秘めた明確な危険分子であり、現代科学においてはその整合性を乱す異物とされた。
人々は特異性能力保持者を恐れ、妬み、我々人類とは異なる忌み子――“アウトサイド(理の外にあるもの)”と呼び、その人権を厳しく制限するに至る。
「アウトサイドは人類に奉仕せねばならず、その能力は公益の為にのみ使用が許可される」
「一般人への能力の行使は死をもって償わねばならず、示威行為さえもそれに準ずる」
「公益の為その能力を行使する際は、上位者の命令に絶対に背いてはならない」
自発的か他発的かを問わず、これらの制約を遵守するアウトサイドだけが、“エクストラ”と呼ばれ賞賛され……ヒーローとして人類の為に使い潰される。
特異性能力保持者は、危険だが貴重で善良な資源エクストラとしてのみ、その存在を認められたのである。

しかし、全てのアウトサイドがエクストラになった訳ではない。
己の意思で生きたいと願う者。
選択の機会さえ与えられず迫害され追われた者。
我々こそが人類よりも優れていると考える者。
力の行使による破壊と殺戮に愉悦を見出す者。
同じ特異性能力保持者でありながらアウトサイドを弾圧するエクストラに復讐を誓う者。
様々なアウトサイドが人類への隷属を拒み、彼等はやがて一つの共同体を成立させた。
それこそが、“アウターエデン”。人類の横暴から全てのアウトサイドを解放する事を目的とした秘密結社。

そしてアウターエデンの明日を担う若きアウトサイド達が鎬を削り切磋琢磨する学び舎を、彼等は“ガルエデン”と呼んだ――

勢力比

アウトサイドは人類社会から危険視され、疎外迫害されている。
アウターエデンは数あるアウトサイドのコミュニティの一つだが、その規模は人類全体と比較すれば全く勝負にならないレベルに過ぎない。
戦力差は全世界VS日本の一都市という程度に開きがあり、もしも本拠地である神宿に攻め込まれようものなら1日と保たず陥落してしまう事になるのは明白。

特異性能力保持者

先天的・或いは後天的に、人でありながら人ならざる能力を持つ者。異能者とも呼ばれる。
その存在は古くより文献、民間伝承の中に見出され、少なくとも四大文明発祥まで遡っても痕跡を確認する事ができる。
炎や風を操る、素手で巨岩を砕く、空を飛ぶ、自身の肉体を液状化させる、特定の動植物を使役する等々その具体的な能力は千差万別。
現在の地球においては国家への忠誠を誓い人類への奉仕者として心身を捧げた特異性能力保持者のみを“エクストラ”と呼び、
それ以外は“アウトサイド”として厳しく弾圧されている。
アウトサイドである事が政府に露見した場合、人権を剥奪されエクストラ養成機関に強制収容される事になるケースが大半を占める。
なお特異性能力保持者かどうかの認定に、当人の思惑や主張は一切考慮されない。
たとえば武芸の鍛錬の末に習得した舞空術であろうとサイコキネシスによる浮遊であろうと、
歩法を極めた結果の縮地であろうと仙術による空間湾曲の縮地であろうと、
才能と経験と技術により実現する銃弾回避であろうと斥力フィールド展開による銃弾回避であろうと、
“常軌を逸した人ならざる能力”と国家に認定されてしまえば特異性能力保持者として扱われてしまう

アウトサイドとエクストラの強さ

前項の通り、特異性能力保持者の内で人類に奉仕隷属する者のみをエクストラと呼び、それ以外をアウトサイドと称する。
あくまでも人類側が特異性能力者を区別差別する為の呼称に過ぎない。
その為、アウトサイドの中にも勿論強力な戦闘能力を持つ者が存在するが、人類側に与するエクストラはその絶対数が遥かに多く、育成やサポートの体制も圧倒的に上回っているのが現状。
エクストラと一騎討ちを行えばアウトサイドが勝てる場合もあるとしても、その一騎討ちに持ち込む事が極めて難しい程に各種物量の差が大きい。

   

アウターエデン

人類に隷属する事を選択しなかったアウトサイド達が、迫害から逃れ結成した共同体。
アウトサイドだけではなく、その家族やアウターエデンの理念に賛同する人間も拒まない。
全てのアウトサイドを人類の横暴から解放する事を目的として掲げ行動している。
アウターエデンは人類の殲滅が目的ではない。特異性能力保持者の子供が、必ずしも特異性能力保持者であるとは限らないのだから。
しかし、世間一般では“悪の秘密結社”という扱いになっている。
弾圧迫害を受けた憎悪から実際に過度な破壊活動を行う者も多く、そのレッテルを否定する説得力に欠けているのが現状。
世界各地に活動拠点を持ち、本拠地は大胆不敵にも日本の東京都にある。

アウターエデンのスタンス

アウターエデンは世界に数あるアウトサイドの共同体の中でもかなり穏便な組織であり、人類の殲滅や特異性能力者が人類に対し支配体制を敷く事を目的としていない。
その目的はあくまでも虐げられるアウトサイドの救出と保護、そして融和に向けた啓蒙活動。
最終的にアウターエデンが人類に対して求めているのはアウトサイドを人間として扱う事で、復讐や選民思想とは異なる。
ただし、このスタンスは悠長かつ非現実的である等として反対する者も存在している。
アウターエデンはそのような意見もまた尊重すべき多様性であるとしているものの、手緩いと袂を分かち他のアウトサイド共同体に移るケースもある。

神宿区

極めて高度な空間複製系異能により、現実の新宿区をコピーして創られたアウターエデンの本拠地。
新宿区と重なり合うように存在しているが、認識阻害系異能によって幾重にも厳重に護られている為
アウトサイド以外には認識する事ができない。
“悪の秘密結社”アウターエデンの構成員が神出鬼没なのは、これが理由。

神宿の外におけるアウトサイド

現在の人類社会ではアウトサイドには人権が認められていない。
特異性能力を保有しない場合でも、アウトサイドを庇い立てする者は同様に人類への反逆者として逮捕拘禁の対象になる。
捕縛されたアウトサイドは思想教育を受け、それでも従わない者は処刑されるのが通例となっている。
このような理由から、特異性能力保持者である事をひた隠しにして生きる者達も多数存在する。
逆に神宿においては、全員がアウトサイド法に反している事もあり原則として外の世界で犯した罪で裁かれる事がない。
これにより、犯罪者の潜伏先という側面を持つ事もアウターエデンが悪の秘密結社と呼ばれる一因になっている。
人類社会としても、神宿に立て篭り出てこない限りにおいては存在しないも同然という事で、敢えて追手をかけるようなケースは極めて稀。

エクストラの社会的地位

神宿の外におけるエクストラは、貴重な資源という扱いの元に管理される。
これは特異性能力保持者を人類の支配構造に組み込む為の処置であり、エクストラは厳しい規則に従う事を求められ、どれだけ功績があろうと違反すれば厳罰に処される。
任務に対する非服従、任務に私情を差し挟む事、特異性能力を私的に使用する事などは露見すれば全て処罰対象となる。
また特異性能力者に選挙権と被選挙権は与えられず、実働部隊においても管理監督者は必ず特異性能力を持たない通常の人間が務める事になっている。
ヒューマンコントロールとも呼ばれるこの原則は、エクストラもまた特異性能力者の便宜上の区分に過ぎず、人間扱いはされていない事を示している。

神宿におけるエクストラ

神宿に対して派遣されるエクストラは、それぞれ異なる多様な任務を受けている。
代表的な例としては偵察と監視など。
外の世界では圧倒的な物量でアウトサイドに対し極めて有利なエクストラだが、敵地のど真ん中である神宿では立場が逆転する。
支援はほぼ受けられず、正体が露見すれば多勢に無勢は否めない。
ただしエクストラである事が露見して捕縛されたとしても、余程の事がない限り即時処刑などは行われない傾向がある。
これは、エクストラもまた特異性能力保持者であって、本質的には同胞であるというアウターエデンの方針によるもの。
アウトサイドに転向すると意思表示を行えば釈放される場合が殆どで、これに関して実働部隊などの中には根強い不満を持つ者も存在する。

神宿への往来

アウトサイドは一部を除き神宿の中を自由に行動する事が可能。
除かれる一部とはアウターエデンの中枢機関であったり、その他機密保持の必要性が極めて高いと判断される場所など。
個人が神宿の外に赴く事は、極めて危険な為に原則として推奨されない。
ただし個人の意志を尊重する基本姿勢により、何か重要な要件があり、どうしてもという事であれば例外的に許可される。
外部から神宿に侵入しようとした場合、そもそも並列空間に存在するので歩いて入るような事は出来ず、内部から招かれる必要がある。
この招かれる基準がかなりザルなので、エクストラのスパイや腹に一物ある者も比較的容易に潜入できてしまっているのが実情。

ガルエデン

世界人類から悪の秘密結社呼ばわりされているアウターエデンの子供達が通い、一般教養やアウトサイドとしての能力を磨く為の学校。
中高大学を兼ねる総合学園であり、
アウターエデンの幹部候補生を養成する性質上、全員が異能持ちのアウトサイド
人類と相互理解して共存する為にも一度完膚なきまでにぶん殴らないといけない!とか、
劣等種どもを支配するのは我らだ!とか、
自由な暴力たーのしー!とか
それでも人を信じたい!とか
小難しい事どうでもいいからセックスしようぜ!とか
外部協力組織からの技術交流で!とか
エクストラだけど潜入捜査に来ました!とか
様々な生徒が在籍している。
校風は良く言えば自由闊達、悪くいえば翻天覆地。
将来に想定されるエクストラとの戦闘に備え、生徒同士の手合わせも推奨されている。
束縛からの解放を目指すアウターエデンの理念が少々行き過ぎ、基本的に殺人以外は何をしても良い
“全てはアウトサイドの未来の為に”とか言っておけば大抵の事は流されてしまう傾向があるとかないとか。

称号

アウターエデンの構成員は、色々と拗らせている者が多い。
そんな拗らせアウトサイドが人前で名乗りをあげる際などに称号を高らかに添える場合がある。
三闘神・四刃将・五天衆・六魔竜・七牙槍などなど、その種類は枚挙にいとまが無い。
これらは当事者が勝手に名乗っているだけのものがほとんどで、そのような場合、当然実際には何の権威も持たない。
公式の称号として“アウターエデン72柱侯”のようなものもあるが、好きこのんでそんなものに名を連ねたがる者は
大抵長生きできないので常時空席だらけ。申請すればガルエデンの学生であっても名乗れる。
もちろん、公式称号であってもそんな緩い審査基準なので特権などは存在しない。